恋する手のひら
「え?何で?
貸してよ!」

訳が分からず戸惑っていると、タケルはため息をつきながら言った。

「実果…。
秀平はそういう意味で誘ったんじゃないと思うぞ」

え?
私が首を傾げると、

「危ねー。
ゲームなんか貸したら、後で絶対秀平に恨まれるとこだった」

タケルはゲームを背中に隠すと、まだ意味が分からない私を見兼ねて、呆れ顔で言った。

「だから。
秀平は一晩中ゲームをやるためにお前を誘ったんじゃないってこと」

タケルは目を逸らしながら、俺に言わせるなよ、とブツブツつぶやいてる。

「どういうこと?」

「だーかーらー!」

耳貸せ、タケルはそう言って私を手招く。

何だろう?
はっきり言えばいいのに。

タケルの声に耳を澄ますと、衝撃の言葉が飛び込んできた。
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