恋する手のひら
「え───っ!?」

聞きなれないエッチな内容に、心の準備ができてなかった私は思わず後ずさる。
一気に耳まで赤くなる。

「嘘…!」

「そんな嘘つくか。
お前あいつの目的、本気で分かってなかったの?」

タケルにため息をつかれ、私はガクガクと首を縦に振る。

「秀平…、不憫な奴」

タケルがぽつりとつぶやいたのさえ耳に入らないくらい、頭の中は真っ白。

まさか秀平がそんなつもりで誘ったなんて、思いもしなかったよ。

「どうしよう、タケル…」

私は慌ててタケルの袖を引っ張る。

「俺に聞くな」

「だって私、そんなことしたことないもん…」

友達から話を聞いたことはあるし、雑誌でそういう特集を読んだこともあるから興味がないわけじゃないけど、今まで誰かとそんな状況になったことない。

そうつぶやいたとき、ふと気になった。

「───タケルは、あるの?」

タケルも真っ赤になる。

「お前が俺に聞くな!
ずっとお前一筋だったって、知ってんだろ!」

背を向けたタケルに内心ホッとする。

自分勝手だけど、タケルが誰か他の女の子と、なんて想像したくないもん。
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