恋する手のひら
端午の節句のときの、やんちゃな着物姿。
幼稚園のお遊戯会。
小学校の運動会…。

「秀平って子供のときから整った顔してたんだね…」

感心する反面、自分とかタケルのふざけた写真を思い出してへこむ。

競い合って撮った変顔の写真なんて、絶対秀平には見せられないな。

次のページをめくると中学生の秀平がいた。

「かっこいー」

思わず口をついて出た。

今の面影はあるけど、少し幼い秀平。

「この写真欲しい!」

私が写真を指差すと、秀平は明らかに不審そう。

「───別にやってもいいけど…。
持って帰ってどうすんの?」

「部屋に飾る!」

そう即答すると、秀平は呆れた顔をして、「やっぱりやらない」とつぶやいた。

残念、本気で欲しかったのにな。

中学生時代の秀平を見れるのは嬉しいけど。
私の知らない時間がたくさんあったのを思い知らされるようで少し複雑。
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