恋する手のひら
「私、秀平ならいいよ…」

そこまで言うと秀平も私が何を言いたいか分かったようで顔を赤らめる。

「お前、何言って…」

「秀平になら、何されてもいい」

秀平のものになるのが怖くないと言えば嘘になる。
だけど、希美ちゃんだけが私の知らない秀平を知ってる方がよっぽど嫌だ。

「お前熱上がってないか?
言動がおかしいぞ」

「だって、希美ちゃんばっかりずるいもん…」

今の今まで怖がってたくせに、気持ちが決まった途端に早く秀平のものにして欲しいなんて、わがままだとは分かってるけど。

「───ちょっと待て。
何でそこに希美が出て来んの?」

秀平が眉をひそめる。

「だって秀平たちは、付き合ってた期間長いし。
タケルが、二人はもうやることやってるかもしれないって…」

「付き合ってたって、中学生の時だぞ。
そんな、ませた付き合い方するかよ」

「───高校に入ってからも付き合ってたじゃん」

私が頬を膨らませて言うと、秀平はそうだけど、と気まずそうに頭を掻く。
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