恋する手のひら
学食はすごく混雑していた。
やっとのことで秀平を見つけ出した私たちは、定食を載せたトレーを持って二人からある程度距離を置いて席に着く。
「───おっ、実果じゃん!
今日はタケルと二人?」
そんなとき、声をかけてきたのは希美ちゃんと同じA組の久美子と沙耶だった。
彼女たちとは同じ中学出身で仲がいいから、いつも私たちが三人でいることも知ってる。
「秀平くんは?」
そう聞かれて私が黙ったまま秀平の方向を指差すと、久美子はなるほど、とつぶやいた。
「最近希美、秀平くんにくっついてるんだって?」
私は苦笑いしながら頷いた。
「記憶がない元彼にべったりなんて、希美も何考えてるんだろうね」
「でもさ。
記憶のない間ずっと支えてくれたら、思い出したとき寄り戻しちゃうかもよ」
何気なくつぶやいた沙耶の言葉が胸に刺さる。
それは私が考えていたことと全く同じだったから。
そうだよ。
ドラマみたいな展開だけど、ないとは言いきれない。
一度は好きになった相手。
優しくされたら情がわいたって当然だ。
周りから見ても秀平と希美ちゃんが寄りを戻しそうな現実が、悲しくて堪らなくなった。
やっとのことで秀平を見つけ出した私たちは、定食を載せたトレーを持って二人からある程度距離を置いて席に着く。
「───おっ、実果じゃん!
今日はタケルと二人?」
そんなとき、声をかけてきたのは希美ちゃんと同じA組の久美子と沙耶だった。
彼女たちとは同じ中学出身で仲がいいから、いつも私たちが三人でいることも知ってる。
「秀平くんは?」
そう聞かれて私が黙ったまま秀平の方向を指差すと、久美子はなるほど、とつぶやいた。
「最近希美、秀平くんにくっついてるんだって?」
私は苦笑いしながら頷いた。
「記憶がない元彼にべったりなんて、希美も何考えてるんだろうね」
「でもさ。
記憶のない間ずっと支えてくれたら、思い出したとき寄り戻しちゃうかもよ」
何気なくつぶやいた沙耶の言葉が胸に刺さる。
それは私が考えていたことと全く同じだったから。
そうだよ。
ドラマみたいな展開だけど、ないとは言いきれない。
一度は好きになった相手。
優しくされたら情がわいたって当然だ。
周りから見ても秀平と希美ちゃんが寄りを戻しそうな現実が、悲しくて堪らなくなった。