恋する手のひら
「図星…?」

言い当てられた私は真っ赤になる。

彼はいつものポーカーフェイスだけど、きっと怒っている。
そうじゃない、と否定しようとした矢先、

「それも仕方ないかもな…」

秀平の冷めた声に、私の頭は一瞬にして真っ白になる。

それって。
秀平は、遠距離が嫌なら別れてもいいってこと?
他の大学に進学する選択肢はないの?

足元が急に崩れていく感覚に襲われる。

「───でも…」

秀平が何か言いかけたとき、私は階段から足を踏み外していた。

「実果、危ない…!」

身体が浮くのを感じると同時に、背中に寒気が走る。

───落ちる。
私は恐怖から、とっさに目をつぶった。
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