恋する手のひら
待ちくたびれてタケルが文句を言い出す前に、早く行かなきゃ。
急ぎ足で職員室に向かう途中、通りかかったA組の教室を見たのは本当に偶然で。
だけど、教室の中に秀平を見つけた私は、無意識に足を止めていた。
秀平は窓際の机に腰掛けて、隣に立つ希美ちゃんの話を聞いてるようだった。
不意に秀平の口元がふっとほころぶ。
その笑顔に、胸がきゅうっと掴まれたように痛んだ。
ああ。
私はなんてわがままなんだろう。
自分から諦めたくせに、あの笑顔が自分以外に向けられているのを見るのがこんなに辛いなんて。
廊下からじゃ二人が何を話しているかなんて聞こえないのに、楽しそうなことだけは痛いくらい伝わってくる。
早く行かなきゃ。
タケルが待ってるのに…。
だけど、私の足はその場を動けない。
このままもう少し秀平を見ていたいと訴えているようだった。
急ぎ足で職員室に向かう途中、通りかかったA組の教室を見たのは本当に偶然で。
だけど、教室の中に秀平を見つけた私は、無意識に足を止めていた。
秀平は窓際の机に腰掛けて、隣に立つ希美ちゃんの話を聞いてるようだった。
不意に秀平の口元がふっとほころぶ。
その笑顔に、胸がきゅうっと掴まれたように痛んだ。
ああ。
私はなんてわがままなんだろう。
自分から諦めたくせに、あの笑顔が自分以外に向けられているのを見るのがこんなに辛いなんて。
廊下からじゃ二人が何を話しているかなんて聞こえないのに、楽しそうなことだけは痛いくらい伝わってくる。
早く行かなきゃ。
タケルが待ってるのに…。
だけど、私の足はその場を動けない。
このままもう少し秀平を見ていたいと訴えているようだった。