恋する手のひら
「結構元気じゃん。
心配する必要なかったな」

意地悪を言ってみると、タケルはしゅんとする。

「これでも、今朝は39度近くあったんだけどな」

そう言いながらも蓋を開けて、着々とプリンを口に運ぶタケルにまた笑っちゃう。

タケルの表情はくるくる変わる。

昨日、真剣な目で私を見つめたかと思えば、今みたいに子供のように甘えてみたり。
そのギャップに、振り回されてしまう。

「でも、熱が下がって良かった」

タケルがプリンを食べるのを見届けて、私は立ち上がった。

「お大事に。
また明日ね」

「待って、玄関まで送る」

タケルはそう言って体を起こそうとする。

「いいよ、一応病人なんだから寝てて」

そう言ったのに、タケルは私の制止を振り切って立ち上がった。
かと思うと、無理に立ち上がったせいか、よろけてしまう。

「だから寝てなって言ったのに。
全く、危なっかしいんだか…」

慌てて支えようとした瞬間、私はタケルに抱きしめられた。
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