恋する手のひら
「ご来店は初めてですか」
店員に聞かれて頷く。
この手の店は、今日みたいに彼女に付き合わされない限り入らないだろうな。
「新商品が出ましたらお知らせしますので…」
断り切れず、店員に勧められるまま顧客カードに簡単な個人情報を記す。
「あれ…」
店員は俺の情報をファイルに書き込もうとしたところで小さくつぶやいた。
「以前もこちらの店をご利用いただいてますね」
俺は驚いた。
「───そんなはず…」
ない、と言いかけて俺は口をつぐむ。
来た記憶はない。
だけど今の俺の記憶は、たかだか一ヶ月程度しかないんだった。
「そう、でしたっけ」
店員に不審に思われたくなくて、俺はごまかすように笑う。
「ええ。
二ヶ月ほど前に、来店されてますよ」
二ヶ月…。
丁度、事故に遭った頃じゃないか。
「先程彼女とご覧になってたネックレスですね。
先日はご購入ありがとうございました」
店員は笑顔でそう言った。
店員に聞かれて頷く。
この手の店は、今日みたいに彼女に付き合わされない限り入らないだろうな。
「新商品が出ましたらお知らせしますので…」
断り切れず、店員に勧められるまま顧客カードに簡単な個人情報を記す。
「あれ…」
店員は俺の情報をファイルに書き込もうとしたところで小さくつぶやいた。
「以前もこちらの店をご利用いただいてますね」
俺は驚いた。
「───そんなはず…」
ない、と言いかけて俺は口をつぐむ。
来た記憶はない。
だけど今の俺の記憶は、たかだか一ヶ月程度しかないんだった。
「そう、でしたっけ」
店員に不審に思われたくなくて、俺はごまかすように笑う。
「ええ。
二ヶ月ほど前に、来店されてますよ」
二ヶ月…。
丁度、事故に遭った頃じゃないか。
「先程彼女とご覧になってたネックレスですね。
先日はご購入ありがとうございました」
店員は笑顔でそう言った。