恋する手のひら
俺は息を飲んだ。
今、何て言った?
「ネックレス…?」
「ええ。
人気の商品で、雑誌で紹介されてすぐに売り切れてしまったんですが、最近また入荷したんですよ」
頭が混乱する。
あのネックレスを、俺が買った?
「お待たせしました」
そう言われて店員から渡されたリボンのかかった小箱は、かすかに見覚えがあった。
俺はそれにゆっくり手を伸ばす。
片手に収まるその小さな箱は、確かに手にするのが初めてではないような気がした。
二ヶ月前にあのネックレスを買って、俺はどうした?
待ち合わせは10時。
駅前の噴水広場。
遅刻禁止。
不意に、頭をガツンと叩かれたような衝撃が走った。
横断歩道に落とした小箱。
スピードを出して迫る乗用車…。
今まで思い出せなかったのが嘘のように記憶の断片が次々と甦ってくる。
今、何て言った?
「ネックレス…?」
「ええ。
人気の商品で、雑誌で紹介されてすぐに売り切れてしまったんですが、最近また入荷したんですよ」
頭が混乱する。
あのネックレスを、俺が買った?
「お待たせしました」
そう言われて店員から渡されたリボンのかかった小箱は、かすかに見覚えがあった。
俺はそれにゆっくり手を伸ばす。
片手に収まるその小さな箱は、確かに手にするのが初めてではないような気がした。
二ヶ月前にあのネックレスを買って、俺はどうした?
待ち合わせは10時。
駅前の噴水広場。
遅刻禁止。
不意に、頭をガツンと叩かれたような衝撃が走った。
横断歩道に落とした小箱。
スピードを出して迫る乗用車…。
今まで思い出せなかったのが嘘のように記憶の断片が次々と甦ってくる。