恋する手のひら
ゆっくりな恋愛
タケルとのキスは初めて。

秀平のときに感じたような、込み上げてくる胸の高鳴りはないけれど、タケルの優しさに包まれて安心する感じ。

目を閉じて身を任せると、タケルはそのまま私をぎゅっと抱きしめる。

「実果とこうしてるなんて。
正直まだ信じらんない」

どれだけ私を好きか聞かされてるみたいで、顔が熱くなる。

まだタケルと付き合って一週間だけど、すごく大事にされてるのが分かる。
もちろん今までも優しかったけど、彼氏になってからは多分その比じゃない。


「「タケルと付き合うことにしたんだって？」」

付き合い出して初めての休日だと言うのに。
今日は朝から久美子と沙耶に近所のカフェに呼び出されてしまった。

私とタケルが付き合い出したことはいつの間にかA組にまで広まってたらしい。

「一応…うん」

私は久美子と沙耶の言葉に頷くと、赤くなった顔を隠すように、アイスラテを一口飲んだ。
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