恋する手のひら
新しいスプーンを手に席に戻ると、なぜか二人とも無口になっていた。

なんか様子がおかしい。

タケルなんて、カレーをかけそうになったことをもっといじってくると思ったのに。

不審に思いながらも、私は何も聞けずにタケルの隣の席に腰を下ろした。

二人の顔を見比べる。
私が席を外した間に何かあったの?

気にはなるけど、さっきの話の流れから考えて、きっと希美ちゃんに関係することなんだろうな。

私が立ち入ったことを聞くわけにもいかないから、理由を聞くのは諦めざるを得ない。

その後もずっと二人して黙りこくってるもんだから、私は落ち着いてカレーを味わうことができなかった。

******

放課後。
いつものように、バスケ部の練習が終わるまで教室で教科書を広げる。

だけど頭に入ってこない。
一人になると、秀平と希美ちゃんが別れたことばっかり考えてしまう。

どうしよう。
こんな不安定な気持ちのままタケルに会う訳にいかないよ。
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