春待つ花のように
「大人しく寝ている性格…だったかな?」

「そうですね。ミゲルを縛り上げてでも、宮殿に乗り込んでくるでしょうね」

 カインが悪戯に微笑むと、ノアルは笑顔になる。

 ゼクスには、ロイと決着をつけなくてはいけない。

 遣り残しているものがある以上、彼は決して床に臥したままにはならないだろう。













「お待ちしておりました…というべきなのかな?」

 ロイは口を緩めて笑うと、ゼクスのことを睨みつけた。

「よくここから来るってわかったな」

「わかりますよ。エマ隊長の指示ですから…」

 ゼクスは斜め下を見ると、哀しげに微笑む。

 自分のことをわかりきっている女性があちら側にいて命令をしているのだ。どう行動するかなど、把握済みということか。
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