春待つ花のように
「ロマの時代は終わります。私もお手伝いしましょう」

「レティアの警護はいいの?」

 ユズキの表情が一瞬曇るがすぐに明るい表情になる。

「知っていたんですか…いいんです。彼女が新しい国王を望んでいるから…」

「そうか。じゃ、一仕事するか」

 笑顔でゼクスが言うと、ユズキが頷く。

「でもその前に、エマさんを助けましょう」

「エマ?」

 ゼクスの顔が険しくなる。

「彼女はロイに囚われているんです。多分、彼の部屋にでも監禁されているんでしょう」

「監禁? 今までのことはエマの指示じゃ…」

 ユズキは首を横に振る。

「軍隊を脱退した人が今更、軍を動かせるわけないでしょ? 全てロイの計画。彼女を自分のモノにするための…ね」

「じゃ、彼女は…」

「無事ですよ…抵抗してなければの話ですけどね」















「お前…いつから…」

 剣で刺された腹の傷口を押さえながら、ロマが言う。突然の出来事に、ロマの表情が恐怖に歪んでいる。
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