春待つ花のように
「私も行く」

 ノアルは真っ直ぐにユズキの顔を見ると、口を開いた。

 その方がいいだろう、カインも隣で頷く。ユズキは困った顔をするが、二人が行く気なら仕方がないと肩をすくめる。

「貴方に斬りかかってくる人がいても、私は止められませんよ」

 ユズキの言葉にノアルはにっこりと微笑む。

「平気だよ。自分で受け止める。それくらい出来なければ、国王にはなれない」
















「僕は彼女を止めるべきだったんですかね」

 大きな花束を灰色の石の上にゆっくり置くと、ユズキは口を開いた。隣に立って手を合わせていたカインは瞳を開けると、彼の顔を見た。
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