初恋の実らせ方
英知は、嘘を吐いてまで一緒にいることを選んだ自分を彩がどう受け止めるのか、想像できなかった。


英知の優しさは不器用で表面に出ないから相手に伝わりにくい。
だから、彩は英知の優しさに触れているのに、いつもなかなか気付かない。


「―――その痣も…、練習中だなんてやっぱり嘘だったんだね」


「違う、これは…」


彩がそっと英知の頬に触れた瞬間、英知は黙る。


「変だと思った…。
こんな痣、殴られでもしなきゃつかないよ。
本当に啓吾が…？」


英知は何も言わない。


彩は、ただ仙道という女の子の言葉を鵜呑みにするつもりはなかった。
だけどあのとき英知が必死になって彼女の言葉を遮ったことと、今何も答えてくれないことで確信した。


「この前の…が、ばれたせい？」


それ以外、啓吾が英知を殴る理由なんてない。


キスがばれたとき、英知は殴られたんだ。
痣がこんなに濃く残るほど。
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