初恋の実らせ方
啓吾と一緒にいるのに、英知のことを考えてしまうのが嫌で彩は啓吾の腕を抱きしめる。
不思議そうに啓吾が彩を覗き込んだので、とっさに、
「啓吾はせっかくカッコイイのにもし痣が残ったら大変だと思って」
と言うと、男は少しくらい傷があった方が迫力があっていいよと笑い飛ばされた。
啓吾のこういう自分自身に無頓着なところが好き。
他にもいっぱいいいところがある。
啓吾は、英知と違って急に怒り出したり、人を不安にさせたりしない。
啓吾が好き。
だから、英知のことを気にする心の隙間なんてない。
まるで自分に言い聞かせるように反芻しながら、彩は啓吾に手渡された弦のお守りを大事に握りしめる。
「ありがと…」
「どういたしまして」
彩はなぜか、そう言って微笑む啓吾の顔を真っ直ぐ見れなかった。
不思議そうに啓吾が彩を覗き込んだので、とっさに、
「啓吾はせっかくカッコイイのにもし痣が残ったら大変だと思って」
と言うと、男は少しくらい傷があった方が迫力があっていいよと笑い飛ばされた。
啓吾のこういう自分自身に無頓着なところが好き。
他にもいっぱいいいところがある。
啓吾は、英知と違って急に怒り出したり、人を不安にさせたりしない。
啓吾が好き。
だから、英知のことを気にする心の隙間なんてない。
まるで自分に言い聞かせるように反芻しながら、彩は啓吾に手渡された弦のお守りを大事に握りしめる。
「ありがと…」
「どういたしまして」
彩はなぜか、そう言って微笑む啓吾の顔を真っ直ぐ見れなかった。