初恋の実らせ方
「じゃ、約束な」


そう言って啓吾はそっと彩の耳に口付けた。


その途端に彩がひゃあっと叫んだものだから啓吾はくすくすと笑い出す。


「耳弱いの?」


彩が答える間もなく啓吾は彩の耳を舌の先で舐める。


くすぐったくて彩が身をよじらせたのを見て、啓吾はまるでお気に入りのおもちゃを見つけた子供のような顔をする。


「すっげぇかわいい」


啓吾に言われたら女の子はどれくらい照れてしまうのか考えたことがないんだろう。


それとも、彩がこんなにドキドキすることが分かっていてやっているなら、相当性格が悪いとしか思えない。


彩がそう言うと、啓吾は悪びれもせず、今さら知ったんだ、と笑って言った。


いつかの英知の言葉と同じだ。
そう思ったとき、彩の体に回した啓吾の手が胸に触れた気がして、彩は振り返る。


「何?」


啓吾はそう言って彩の腰に腕を回した。
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