初恋の実らせ方

「何ちゅー声出してんだよ」


「何で英知がいるの？！」


彩は英知の言葉に聞く耳を持たず、手繰り寄せた掛け布団から目だけ出して叫ぶ。


英知も英知で、それに答えようともせずそんな彩に見とれてしまう。


そんなとき、彩はふと枕元の目覚まし時計に目をやって、再び叫んだ。


「あーっっ！
目覚まし時計止めたでしょ！
遅刻しちゃう…」


彩は英知を押し退けるようにベッドから飛び出ると。
クローゼットの中のブラウスを手にして振り返った。


「私、着替えたいんだけど…」


英知はにっこりと笑んで、どうぞとつぶやく。