初恋の実らせ方
「二人きりになったとき、彩ちゃんすげぇ緊張してたよ」


見る見るうちに険しくなっていく英知の表情に、啓吾は思わず吹き出した。


「バーカ。
部活中の話だよ」


英知はホッと胸を撫で下ろしたものの、内心穏やかではいられない。


「言っとくけど、彩は俺のだからな」


啓吾も彩に好意を持っているのは分かっている。


だけど、啓吾は英知と違って、彩だけをずっと好きなわけじゃない。


英知がずっと彩だけを思ってる間、何人もの女の子と付き合っては別れを繰り返していた啓吾には譲りたくない。


「付きまとってるだけだろ?」

「うるさいなー」


図星を刺された英知は、苛立ちながら自分の部屋へ向かいつつ、今日に限ってやけに彩にこだわる啓吾が気になった。
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