四季の詩-シ キ ノ ウ タ *゚-
*序幕*
未来永劫の願い
燃え盛る業火の炎。
火の手はもう町を飲み込み、止まることを知らない。
さっきまで、遠くで聞こえた誰かの叫びはもう届かない。
全ては炎の中────もうみんなの命は尽きてしまったのだろうか?
それすらもう……──わからない。
「──…な…ま……」
掠れて声にならない声で呼ぶのは愛しい人。決して、一緒になることは出来なかった彼。
「…さ──…ら──様!」
息も絶え絶えに貴方は私を抱き締めた。強く強く──もう離さないと言わんばかりに力強く。
私は最低かも知れない──
人々が鳥が……自然が──苦しんでいるというのに、今、この瞬間があれば良いだなんて……思うなんて──。
そんなことを言ったら貴方はきっと「仕方ないですよ」って言って「貴女だって人間なのですから」と続けて、
優しく、暖かい手で頭を撫でてくれるのかな?
でも……──それでは駄目なのだとわかってしまった。
────大人になって気付いてしまったのは運命(さだめ)だから。