LOST OF THE
WORLD
友人
地下鉄を出て五十歩程歩いた時、空気が不意に暖かくなったのがわかった。空が幾分よくみえるようになり、景色もさっきよりか広がる。正確には道路も広くなったのだが、人が多くなったせいで先程より狭く感じた。通行人の体温と自分の体のほてりで、世界ががらりと変わった気がする。ちょうどこめかみあたりを支配していた氷のようなものが、ピキッと割れる音がした。
空港まで行くには、ここから後数分歩いたところにある、タクシー乗り場までいかなくてはいけない。
もう先に圭一が車を止めておいてくれてるだろう。
家をでる時に打ったメールの内容を思い出す。
5分くらい遅刻するといったが、このままいくと2分程度ですみそうだ。
最も遅刻することに変わりはないのだが。
きっと圭一は、2分なんぞ遅刻のうちにも入らないといって、笑い飛ばしてしまうだろう。
そうだ、圭一とあいつは違う。
それを履き違えちゃいけないんだ。
ユキは自分の心にもう一度鞭を打つ。
震えて止まりそうになる足をなんとか動かしながら――。
空港まで行くには、ここから後数分歩いたところにある、タクシー乗り場までいかなくてはいけない。
もう先に圭一が車を止めておいてくれてるだろう。
家をでる時に打ったメールの内容を思い出す。
5分くらい遅刻するといったが、このままいくと2分程度ですみそうだ。
最も遅刻することに変わりはないのだが。
きっと圭一は、2分なんぞ遅刻のうちにも入らないといって、笑い飛ばしてしまうだろう。
そうだ、圭一とあいつは違う。
それを履き違えちゃいけないんだ。
ユキは自分の心にもう一度鞭を打つ。
震えて止まりそうになる足をなんとか動かしながら――。