猫のワルツ
「別に良いですけど」

「タマ、何泣いて…」

「泣いてません」

「でも、」

「うるさい!!」


無意識に涙が出て、止めることが出来なかった。
走ってその場から逃げる。


「…っ、菜都美!?」


名前を呼ばれ、余計に涙を目にためながら菜都美が振り向く。


「タマのままで、猫で良いです!!」


菜都美には、唖然とする龍史の顔も見えた。
だけど、涙も止まらず走って逃げるしか出来なかった。

必死に走っている途中に、菜都美は3年の女の先輩に見つかってしまい、中庭まで連れてこられていた。


「キモ~い」

「ウザい。うちらの目の前通んじゃねぇよ」

「それは…!!」

「口答えすんの?ほんとに腹立つ!!」

「目障りなんだよ!!」


3年の女子が思い切り手を振り上げる。

なんで今の時代にこんな、ボコボコにされるようなことされなくちゃならないんだ…。

そう考えながら菜都美は目をつむる。


「…え?」


時間が経っても何も起こらなくて、菜都美はそっと目を開ける。
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