Don't allow me.



「和芭くん!」



呼ばれた自分の名前に
現実に引き戻される。

僕の名前を呼んだのは
先ほどの電話の相手だ。

そいつが、運転する車の
後部座席に、誰にも見られないように
スルリ、と滑り込ませた。



「街中、しかも駅の真ん前で名前を呼ぶな」



運転席の座席を力任せに蹴る。

相手はさほど気にしてない様子で
簡単に「ごめんごめん」と謝った。

そんな、言葉に舌打ちをして
もったままだった煙草を吸った。



「今日も忙しいんだから!」



流れゆく街の景色を見ながら
煙草を吸い込んで、また、吐いた。



「聞いてる!?」

「聞いてる聞いてる」

「じゃぁ、さっきなんて言った?」

「………………………」



短いようで長い沈黙。



「聞いてなかっただろ!」

「悪かったよ、また一から説明してくれ」



そう言った僕の言葉に
ブツブツ文句を言いながらも
説明を再開しだした相手に苦笑いを贈った。





This is the present every day.

(これが今の日常。)




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