Don't allow me.
「ただの空き巣や強盗なら、一ヶ所刺して逃げれば良いだろ?なのにこの被害者の腹部には何度も何度も刺された跡がある」
「たしかに……」
「何度も、何度も、刺す必要があったのか…」
麻賀は立ち上がり、室内を見渡した。
「顔見知りが…来ていたのか…?」
「え…?」
「見ろ、これはなんに見える?」
「え…ビールの缶…」
「それも、二本もある」
新人は疑問符を浮かべながら、
麻賀の顔を見つめた。
「部屋に被害者が居たなら、部屋の電気は点いているはず…灯りが明々とついてる部屋にわざわざ盗みに入るバカがいるのか…」
「ありえない…ですよね…」
「だったら、昨日この部屋に被害者は客を招いているはず…それも、ビールを出すような親しい誰かを…」
ビールの缶を持ち上げる麻賀。
その姿を見守る新人。
「マスコミには何を聞かれても何も答えるんじゃないぞ!」
凛とした麻賀の声が部屋に響いた。
誰もが、その声に聞き入った。
「被害者の交遊関係を洗え!被害者の全てを洗い出すんだ!」
その言葉に、
その場にいた刑事、警察官は、
声を揃えて返事をし、動き始めた。