Don't allow me.
麻賀は、部屋を出て、
ため息を一つ吐いた。
新人も麻賀の後について部屋を出た。
「麻賀さん…ちゃんと寝ました?」
「あぁ?」
「目の下に隈があるし、ため息も多いですよ」
「…この季節だけはダメなんだよ」
肌寒くなってきた季節。
麻賀は、何かを思い出しているかのように
青い空を見上げて呟いた。
「寒いからですか?」
「……ぁあ、寒いからな…」
「もうすぐで、冬ですもんね」
麻賀は、歩きだした。
その後ろ姿を追い掛けるように
新人も歩きだした。
「今年も冬がくるんだな…」
麻賀は、誰にも
消えないほどの小さな声で
空を見上げながら呟いた。
It is still only beginning.
(それはまだ、始まりでしかない。)