薬指のダイヤ
冷静に言ったあたしだけど
実際はマジで焦ってる。
うっすら額に
汗だって滲んでる。
達弥…。
この名前を聞くだけで
吐き気が襲う。
「……っくっそ」
あたしはどうにもならなくて
机を蹴飛ばした。
物に当たったって
何にもなんねぇのに。
今あたしには
あの時の現状が
思い浮かんできて…。
何もせずにはいられないんだ。
自分で自分を
コントロールできない。
「璃麻??」
あたしの異変に気付いた櫂兎が
あたしの顔をのぞく。
「……っく」
呼吸が上手くできない。
「璃麻!?」