薬指のダイヤ

「あたしはっ…。

ずっとずっと親に認められないまま

過ごしていかなきゃいけないんだ。

ずっと、信じてみたかった親に

こんなあっさり裏切られるなんて…

思ってなかったんだよ」

前に

親とトラブルになったことがあっても

ここまで大袈裟にはならなかった。

あたしだって

泣いたことはなかったし

親だって

叩くことなんてしなかった。

だけど今日…。

初めて叩かれて。

もう親からあたしへの愛は

これっぽっちもないんだって…。

そう思ってしまった。

親に認めてもらえないことが

親に信じてもらえないことが

こんなに苦しいことだったなんて

全然知らなかった。


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