寄せ書きレター
「ぜーったい、また遊ぼうね!」
県外の大学に進学する友達との別れが惜しくて、そんなありきたりな言葉を交わす。
本当は、ずっとずっと一緒にいたいけど。
もうそれは、無理なことだから。
もしかしたら私の願いは叶わないことかもしれないけど、そんな言葉でまた会いたい気持ちを繋ぐ。
必死に、強く。
感傷に浸りながらそうしていると、ぐいっと腕を勢いよく引かれた。
思わず、バランスを崩しそうになる。
「なぁ、彩音。おまえもなんか書いてよ」
腕を引かれるままに顔を動かす。
見ると腕を引っ張った張本人である隣りの席の陽介が、卒業アルバムの最後にある寄せ書き用のページを開いて私に向けていた。
そこには友達たちのメッセージがほぼページいっぱいに書き込まれているけれど、ページの右上だけは綺麗にスペースが空けられている。
――まるで、私にそこにメッセージを書かせるように。