寄せ書きレター
突然のことであるにも関わらず、私は意外と平然としていた。
…いや、むしろ。
いつもみたいに接することが出来ないと、意味がないんだけど。
「…うん、いいよ。でも、陽介も私のアルバムに書いてよね」
「オッケー。俺だけでページの半分埋めてやるよ」
「いや、もうそんなにスペースないから」
大げさなことを言う陽介を笑いながら、左手で彼のアルバムを受け取る。
空いているもう片方の手では、机の上に置いてあった自分の卒業アルバムを持った。
さっきまで一緒になって喋っていた友達は、気を利かすように少し離れた位置からその様子を見守っている。
目を合わせればにこりと微笑む友達は、言葉に出さなくても応援してくれているのが分かる。
心の中でこっそりと、ありがとうと呟いた。