寄せ書きレター
私は手に持ったアルバムの例のページを開くと、席に座って待っている陽介の前に躊躇いがちに差し出した。
彼のものと同じように、一箇所だけ空白になっている寄せ書きのページを……。
まさか陽介が自分と同じようなことをしているとは思わなくて、さっきアルバムを見せられたときは本当に驚いた。
同じことを考えていたことに対する喜びなのか照れなのかは分からないけど、顔が自然と熱を帯び始める。
陽介がアルバムを受け取るとき、緊張が手から伝わっていきそうだった。
陽介はそのことに何も感じていないのか、それとも最初からこうなることが分かっていたのか。
そのどちらなのかは、陽介が書き込むために俯いたせいで表情がよく見えず、確認することは出来なかった。
陽介がペンを動かすのを確認して、私は彼の右隣の自分の席に座る。
そして震える手で、彼のアルバムにペンを走らせて綴った。
――もう会えないかもしれない、君への最後のメッセージを。