柾彦さまの恋
次に会ったのは、銀杏亭の昼食会。
女学生の中で一際可憐で目を惹いた。
それでいて慎ましく側に居るだけでしあわせな気分にしてくれた。
新緑の美術館。
陽だまりに白いワンピースで佇む姫は、長い髪がそよ風に揺らめいて、きらきらと輝いていた。
『柾彦さま』と澄んだ瞳で見上げられて、名前を呼ばれる度に姫の美しさに言葉を忘れて見惚れていた。
真珠晩餐会では、榛文彌の非礼な言動に遭いながらも、毅然とした態度を保っていた姫。
怖くて震えながらも、決して自分には、涙を見せなかった強き姫。