柾彦さまの恋

「本日は、お店の忙しい中、突然伺いまして申し訳ありませんでした。

 今から、笙子さんをお誘いしたいのですがよろしいでしょうか。

 夕方には、送って参ります」

 柾彦は、紗和に申し出た。


「こちらこそ、ご丁寧にありがとうございました。

 何もおもてなしできずに申し訳ございません。

 どうぞ、笙子をお連れくださいませ。」

 紗和は、柾彦の中に清々しい青空を感じ、

古い老舗の呉服屋に爽やかな風が吹き込んだように感じていた。


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