柾彦さまの恋
「ありがとうございます。
私は、おばさまが大好きでございます。
これからも、おばさまがよろしゅうございましたら、
今まで通りのお付き合いをさせていただきとう存じます」
祐里は、自分のことを変わらず好きでいてくれる結子を
ますます好きになった。
「勿論でございますとも。
祐里さんは、志子(ゆきこ)さんと同じく私の娘ですもの。
笙子さんとも仲良くして差し上げてくださいませね」
結子は、祐里のことを桜河家に嫁がせた自分の娘のように感じていた。
「はい。桐生屋さんで御着物を誂えるときは、笙子さまにお見立てを
お願いしてございましたの。
大人しい方ではございますが、しっかりとした方でございます。
柾彦さまは、頼もしいお方でございますから、きっと、笙子さまを
導かれることでございましょう」