柾彦さまの恋
恋慕
毎週水曜日の午後、
祐里は、鶴久病院の入院患者を見舞う奉仕活動をしていた。
以前に祐里が知人の見舞いに訪れた病室で
『祐里さまが病室にいると、気分がよくなり痛みが和らぐようだ』
という入院患者の声を聞きつけた結子が、試しに祐里に依頼したところ、
不思議なことにどの病室からも歓迎されたのだった。
祐里も入院患者が楽しみにしているのを知り、喜んで見舞っている。
「ご機嫌いかかでございますか」
祐里は、病室を廻り、手を握ったり、痛いところを撫でたりして、
ひとりひとりに優しく話しかけた。
祐里の慈悲のこころは、入院患者を元気付け、しあわせな気分にしていた。
その評判は、口伝てに広がり、鶴久病院の受診者は、ますます増えていた。
祐里は、院内の見舞いを終えて、副院長室前の廊下で柾彦に出会った。
「姫、お疲れさま。美味しい珈琲をご馳走しますよ」
白いワンピース姿の祐里は、病院の廊下に差し込む
秋の和(なご)やかな陽射しに輝いていた。
柾彦は、昨夜から急病の患者にかかりきりで、心身ともに疲れていた。
杏子から結婚話を突かれたことも影響してか、
こころが祐里の優しさを求めていた。
「柾彦さま、お疲れさまでございます。お心遣いありがとうございます」
祐里は、柾彦の後から副院長室に入って、静かに扉を閉めた。
祐里は、鶴久病院の入院患者を見舞う奉仕活動をしていた。
以前に祐里が知人の見舞いに訪れた病室で
『祐里さまが病室にいると、気分がよくなり痛みが和らぐようだ』
という入院患者の声を聞きつけた結子が、試しに祐里に依頼したところ、
不思議なことにどの病室からも歓迎されたのだった。
祐里も入院患者が楽しみにしているのを知り、喜んで見舞っている。
「ご機嫌いかかでございますか」
祐里は、病室を廻り、手を握ったり、痛いところを撫でたりして、
ひとりひとりに優しく話しかけた。
祐里の慈悲のこころは、入院患者を元気付け、しあわせな気分にしていた。
その評判は、口伝てに広がり、鶴久病院の受診者は、ますます増えていた。
祐里は、院内の見舞いを終えて、副院長室前の廊下で柾彦に出会った。
「姫、お疲れさま。美味しい珈琲をご馳走しますよ」
白いワンピース姿の祐里は、病院の廊下に差し込む
秋の和(なご)やかな陽射しに輝いていた。
柾彦は、昨夜から急病の患者にかかりきりで、心身ともに疲れていた。
杏子から結婚話を突かれたことも影響してか、
こころが祐里の優しさを求めていた。
「柾彦さま、お疲れさまでございます。お心遣いありがとうございます」
祐里は、柾彦の後から副院長室に入って、静かに扉を閉めた。