幸福の時間へようこそ
*仕事の時間*
代官山の駅で降り、ゆっくり歩いて約15分。
住宅街の路地を曲がると、唐突に、花梨の職場があらわれる。
職場や会社、といった表現は正直似つかわしくないかもしれない。
なぜならそこは、ファンタジーの世界を連想させるような重厚な木の扉と、繊細な木の匂いにつつまれた、とてもお洒落な雑貨屋だからだ。
「花梨さん、おはようございます!」
背後から飛んできた、いきいきとした声。
振り向かなくてもわかる、その主は……、
「おはよう、ゆうくん。朝から元気ね」
桐谷 悠一郎(きりや ゆういちろう)だ。
「こんなところで会えるなんて、ラッキーな朝です!」
「こんなとこって……、もうお店、見えてるけど」
花梨は、思わず吹き出す。
毎度のことながら、悠一郎はどストレートだ。
真直ぐすぎて痛いくらいに……。
「見えてても、嬉しいもんは嬉しいんです! 一緒に行きましょ、花梨さん!」
「そりゃあ、目指す場所は同じなんだし、かまわないけど……、ゆうくん、学校は?」
「今日は、午後からです。……。」
悠一郎はちょっと悩んだような表情を見せた。
視線から察するに、バッサリと切られた花梨の髪型に気づいたからかもしれない。
言葉を探すような様子を見せたが、けっきょくそのことには触れなかった。
「そう」
頷きながら、若いな、と花梨は思う。
若くて。
眩しくて。
痛い……。
住宅街の路地を曲がると、唐突に、花梨の職場があらわれる。
職場や会社、といった表現は正直似つかわしくないかもしれない。
なぜならそこは、ファンタジーの世界を連想させるような重厚な木の扉と、繊細な木の匂いにつつまれた、とてもお洒落な雑貨屋だからだ。
「花梨さん、おはようございます!」
背後から飛んできた、いきいきとした声。
振り向かなくてもわかる、その主は……、
「おはよう、ゆうくん。朝から元気ね」
桐谷 悠一郎(きりや ゆういちろう)だ。
「こんなところで会えるなんて、ラッキーな朝です!」
「こんなとこって……、もうお店、見えてるけど」
花梨は、思わず吹き出す。
毎度のことながら、悠一郎はどストレートだ。
真直ぐすぎて痛いくらいに……。
「見えてても、嬉しいもんは嬉しいんです! 一緒に行きましょ、花梨さん!」
「そりゃあ、目指す場所は同じなんだし、かまわないけど……、ゆうくん、学校は?」
「今日は、午後からです。……。」
悠一郎はちょっと悩んだような表情を見せた。
視線から察するに、バッサリと切られた花梨の髪型に気づいたからかもしれない。
言葉を探すような様子を見せたが、けっきょくそのことには触れなかった。
「そう」
頷きながら、若いな、と花梨は思う。
若くて。
眩しくて。
痛い……。