幸福の時間へようこそ
「ラッピングだけ手伝いに来たんです。ホントは今日、シフトなかったんですけど、タカさんがどうしてもって頼むから」
はつらつとした笑顔を振りまきながら、悠一郎が言う。
タカさんこと篠塚 孝之(しのづか たかゆき)は、花梨と悠一郎が働く店「coucou(ククゥー)」のオーナーだ。
「もうすぐ、クリスマスだものね」
クリスマス、という言葉を口にすると、しみじみとした気持ちになるのはどうしてだろうか。花梨は不思議な気持ちになる。
一年の終わりが近付いていることを実感するから……、かもしれない。
お店の前に着くと、ショーウィンドウの向こうで、孝之がダンボールを抱えている姿が見えた。
花梨たちに気づくと、ダンボールを体で支えるようにして、片手を振った。
爽やかな、頬笑みだ。
「さ、どうぞ。花梨さん」
ドアボーイのように、悠一郎がお店の扉を開けてくれた。
板チョコのようにボコボコとした形の重厚なドアは、その色も、カカオのきいたチョコレートのようにしっとりとした濃い茶色をしている。
店内に一歩足を踏み入れると、西洋ファンタジーの世界にでも飛んでいたかのような錯覚を受ける。
そして……、
「おはよう、花梨ちゃん。髪切ったの? 似合うねぇ」
「coucou」の創造主、オーナーの孝之が、どんなスイーツよりも甘い笑みで迎えてくれる。
個人経営の小さな店ながらも「coucou」が存在し続けられる理由は、なによりもこのオーナー・孝之の甘いマスクにあるのではないかと、花梨は思っている。
はつらつとした笑顔を振りまきながら、悠一郎が言う。
タカさんこと篠塚 孝之(しのづか たかゆき)は、花梨と悠一郎が働く店「coucou(ククゥー)」のオーナーだ。
「もうすぐ、クリスマスだものね」
クリスマス、という言葉を口にすると、しみじみとした気持ちになるのはどうしてだろうか。花梨は不思議な気持ちになる。
一年の終わりが近付いていることを実感するから……、かもしれない。
お店の前に着くと、ショーウィンドウの向こうで、孝之がダンボールを抱えている姿が見えた。
花梨たちに気づくと、ダンボールを体で支えるようにして、片手を振った。
爽やかな、頬笑みだ。
「さ、どうぞ。花梨さん」
ドアボーイのように、悠一郎がお店の扉を開けてくれた。
板チョコのようにボコボコとした形の重厚なドアは、その色も、カカオのきいたチョコレートのようにしっとりとした濃い茶色をしている。
店内に一歩足を踏み入れると、西洋ファンタジーの世界にでも飛んでいたかのような錯覚を受ける。
そして……、
「おはよう、花梨ちゃん。髪切ったの? 似合うねぇ」
「coucou」の創造主、オーナーの孝之が、どんなスイーツよりも甘い笑みで迎えてくれる。
個人経営の小さな店ながらも「coucou」が存在し続けられる理由は、なによりもこのオーナー・孝之の甘いマスクにあるのではないかと、花梨は思っている。