幸福の時間へようこそ
孝之と目があった花梨は、困ったように微笑む。


「あー、花梨さん、苦笑いですかー? 俺、迷惑ですか」


「悠一郎くん、そんなストレートな聞き方するもんじゃないよ」


孝之が溜息をつく。


「迷惑ってわけじゃないけど……」


小首をかしげて見せる花梨。


「じゃあ、タイミング間違ってますか?」


「んー、そういうのともちょっと違うんだけど……」


真直ぐに視線をぶつけてくる悠一郎。
忠犬のようだと、花梨は微笑ましく思う。


「おいおい、ゆうくーん。レディが困ってるだろう」


ちょっとおどけた口調で、孝之が助け舟を出す。


「あ……、すみません……」


ペコリ、と頭を下げる忠犬。
しょんぼりと垂れ下がるシッポが見えるかのようだ。


「ううん、大丈夫よ。ただ、そうね……。ゆうくんは若すぎる、かな」


「えー、またその答えですかー、ずるいですよー。年の差ばっかは、どうやったって変えられないです」


アハハ、と笑いが起こり、「coucou」の1日が始った。
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