guard&search~幕末転生~
紅妃は足元の小石を拾うと浪士に向かって投げつけた。
「ッ!!」
眉間に当たり、浪士はしばらく目が開かない。
突然の出来事にざわめく中、紅妃は走り、素早く娘を抱え近くの路地裏に入り屋根に飛びあがった。
下では石ころが当たった浪士が娘と紅妃を探し、喚きながら走りだした。
「あ、あの…」
「しぃ…
しばらく我慢しろ。
奴が消えるまで…」
「は、はい…」
突然現れ、抱き上げられて間近で見た紅妃の艶やかな美しさに娘はポゥっと見惚れてしまう。
「…行ったか。
大丈夫か?
今下ろしてやる」
紅妃は屋根つたいに店の上に来ると軽やかに着地した。
素早く店内に入り、娘を下ろした。
「しばらくは表に出るな。
では」
紅妃は用が済んだとばかりに店を出ようとする。
「お、お待ちください!
お礼を!」
「別に礼が欲しくて助けた訳では無い。
気にするな」
「でも!
せめて…せめて、お団子だけでももらってください!!」
必死にすがる娘に苦笑しながら、頷いた。
「わかった…
では、団子をいただきます」
ニコリと笑うと娘は顔を真っ赤にしながら、待っててくださいと言うと沢山の団子を包み持ってくる。
「今は持ちあわせが無いんだが…」
「大丈夫です!
助けていただいたお礼です!
お持ちください!」
「そうか…
沢山ありがとう」
極上の笑顔を振り撒き、店をあとにした。