guard&search~幕末転生~
ガンッ
ガンッ
ガンッ
沖田の三段突きは全て紅妃に止められた。幹部は驚愕する。
三段突きはかわせる者など今まで誰もいなかった。
「…最後」
ガンッ
カラカラ…
紅妃の言葉と共に鋭い一閃が放たれ、沖田の木刀は宙に舞っていた。
「そこまで!
勝者、御厨紅!」
土方の宣言で試合は終わる。
「隊長が…
負けた…」
道場内はざわめき、動揺が走る。ぽっと出が勝ったのだ。
仕方ないのかも知れない。
平隊士の言葉に、沖田は苦笑し、道場から去ろうとした。
「…おい」
紅妃の殺気が辺りを包み、全員が固まった。
「沖田が負けた?
貴様らは、それしか見えなかったか?」
紅妃は沖田の腕を掴むと更に言い募る。
「確かに、負けは負けかも知れない。
だが…
今の戦いで、それしか学べないとは…
天才と言うだけで、ここまで出来るか?
何の努力もせず、才能だけでは今の戦いは出来ない。
全く…愚かだな」
紅妃の殺気は更に膨れ上がり、睨み付けた。
「こいつの手も、何も…
見えてない奴が武士を名乗るとは片腹痛いわ」
紅妃は沖田を、負けたと言った奴に投げ飛ばした。
「先にお前の部屋に行っている」
紅妃は言い残し、道場を後にした。
投げられた隊士は、沖田の手を見ると、沢山のまめの潰れた後がありゴツゴツしていた。
それは、己とはまるで違う努力の跡だった。
隊士は自分の不用意な発言に唇を噛みしめる。
沖田は、そんな隊士を見るとニコリと笑い、ゴツゴツした手で頭を撫でた。
「すいません…隊長…」
じっと涙を流す隊士に沖田は優しく笑った。