guard&search~幕末転生~


しばらく2人の鬼ごっこが済むと、遠くからドタドタと走る音が近いて来る。


「歳ーッ!!」


スパーンッ!!と気持ち良い音と共に現れたのは近藤だった。


「新しい隊士が来たんだって?

しかも総司に勝ったって…」


ニコニコ笑いながら、乱入した。


「…近藤さん、頼むから…


落ち着け…

あんた局長だろうがよ…」


ガックリとうなだれた土方に、皆苦笑した。


「初めまして、近藤局長。

この度、土方副長の小姓に成ります、御厨紅です」


スッと、口上を述べ、頭を下げた紅妃に皆の視線が集まる。

爽やかに笑う紅妃に、違和感を覚えるが、近藤は来ていない事を思い出す。


「そうか!

君が…


歳をよろしく頼むよ!

これから同志として頑張ろうな!」


近藤は紅妃に笑いかけると、仕事があるからと部屋を出ていった。


「…アカン…

紅妃はんが恐ろしいわ…」


あまりの変わり様に、山崎がポツリとこぼすと、そのままの笑顔で紅妃が振り向いた。


「…山崎さん?

先輩としてよろしくな?」


底冷えしそうな声音に、先輩が奴隷に聞こえた山崎だった。


ここでも、山崎の苦悩は終わらないらしい。


「じゃあ、決まった事だし、私は夕食の準備に行くよ。


また、食事の時に会おうな、紅妃君」


井上の退室と共に、皆パラパラと土方の部屋を出ていった。






< 111 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop