guard&search~幕末転生~
しばらく2人の鬼ごっこが済むと、遠くからドタドタと走る音が近いて来る。
「歳ーッ!!」
スパーンッ!!と気持ち良い音と共に現れたのは近藤だった。
「新しい隊士が来たんだって?
しかも総司に勝ったって…」
ニコニコ笑いながら、乱入した。
「…近藤さん、頼むから…
落ち着け…
あんた局長だろうがよ…」
ガックリとうなだれた土方に、皆苦笑した。
「初めまして、近藤局長。
この度、土方副長の小姓に成ります、御厨紅です」
スッと、口上を述べ、頭を下げた紅妃に皆の視線が集まる。
爽やかに笑う紅妃に、違和感を覚えるが、近藤は来ていない事を思い出す。
「そうか!
君が…
歳をよろしく頼むよ!
これから同志として頑張ろうな!」
近藤は紅妃に笑いかけると、仕事があるからと部屋を出ていった。
「…アカン…
紅妃はんが恐ろしいわ…」
あまりの変わり様に、山崎がポツリとこぼすと、そのままの笑顔で紅妃が振り向いた。
「…山崎さん?
先輩としてよろしくな?」
底冷えしそうな声音に、先輩が奴隷に聞こえた山崎だった。
ここでも、山崎の苦悩は終わらないらしい。
「じゃあ、決まった事だし、私は夕食の準備に行くよ。
また、食事の時に会おうな、紅妃君」
井上の退室と共に、皆パラパラと土方の部屋を出ていった。