guard&search~幕末転生~


「うち…

うちは、あかん女や…


旦那はんがおるのに…


他の男に惚れたんや…




けど、その人は…






殺されたんよ…






壬生狼にッ!!」


「お梅…」


桜は何を言ったら良いか分からず、名前しか呼べない。

水揚げは、唯一生きて花街から去る方法。

誰もが好いた男にされるとは限らない。


「うちは、何でもする覚悟や…

せやから…


せやから桜姐さん…


うちに長州の方を会わせてほしいんどす!


後生や!」


必死に頭を下げるお梅に、本気を悟る。


しばらく考えた桜は、重い口を開く。


お座敷の事を話すのは、いくら元仲間とはいえ、御法度。


しかし…


「お梅…

あんたかて、元は花街の人間や…


御法度くらい分かるやろ…



せやから…





幾松姐はんを頼りなはれ…


堪忍え…


うちが言えるのはここまでや…」



幾松…


長州に繋がる糸口。



「おおきにッ!!

おおきに…桜姐さんッ!!」



掟を破ってまで、教えてくれた桜に何回も頭を下げ、お梅は桜姐さんの店から立ち去った。








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