guard&search~幕末転生~
それから大阪への道中、紅妃や沖田の申し出で所々休憩を挟みつつ、遂に、浪士組一行は大阪入りを果たした。
少し疲れた様子があるも、新しい土地にキラキラしていた。
さっそく、浪士の取り締まりに、街中を歩き始める。
しばらく歩くと、先の店から怒声が聞こえて来た。
どうやら、店主と3人組が争っている。
「我らは壬生浪士組だッ!!
さっさと出さんかッ!!」
聞こえて来た声に、皆顔つきが変わった。
「当たりだな」
「…許せん」
永倉と斎藤の声に、全員が頷いた。
「行くぞッ!!」
芹沢が一声あげて、先頭を行く。
鉄扇を握る手は、力を込めすぎて白くなっていた。
…浪士組大好きっ子め…
誰もが目先の敵に集中しているから分からないかも知れないが、後ろから見ていた紅妃はうっすら微笑みを浮かべた。
店主の拒否焦って来たのか、遂に偽物は刀を抜いた。
怒りに染まった刀は店主めがけ降り下ろされる。
キンッ!!
切られる寸前に、鉄扇に阻まれる。
「…ほぅ。
貴様らが壬生浪士組か…」
芹沢の小馬鹿にした呟きが、店内にいやに響く。
「ッ!!
な、なんだ貴様ッ!!」
受け止められた偽物は狼狽え、半歩後ろに下がると、トンと誰かにぶつかった。
「へぇ…
私は、お前の顔何ぞ知らないがな。
名前は?」
振り向くと、そこにいたのは、紅妃だった。
にこやかに。
真っ黒く微笑みを浮かべている。
まさに、前門の虎、後門の狼。
突然表れ、威圧する2人に偽物は真っ青になっていた。