guard&search~幕末転生~


それから大阪への道中、紅妃や沖田の申し出で所々休憩を挟みつつ、遂に、浪士組一行は大阪入りを果たした。


少し疲れた様子があるも、新しい土地にキラキラしていた。


さっそく、浪士の取り締まりに、街中を歩き始める。


しばらく歩くと、先の店から怒声が聞こえて来た。

どうやら、店主と3人組が争っている。


「我らは壬生浪士組だッ!!

さっさと出さんかッ!!」


聞こえて来た声に、皆顔つきが変わった。


「当たりだな」

「…許せん」


永倉と斎藤の声に、全員が頷いた。


「行くぞッ!!」


芹沢が一声あげて、先頭を行く。

鉄扇を握る手は、力を込めすぎて白くなっていた。



…浪士組大好きっ子め…



誰もが目先の敵に集中しているから分からないかも知れないが、後ろから見ていた紅妃はうっすら微笑みを浮かべた。



店主の拒否焦って来たのか、遂に偽物は刀を抜いた。

怒りに染まった刀は店主めがけ降り下ろされる。



キンッ!!




切られる寸前に、鉄扇に阻まれる。


「…ほぅ。


貴様らが壬生浪士組か…」


芹沢の小馬鹿にした呟きが、店内にいやに響く。


「ッ!!

な、なんだ貴様ッ!!」


受け止められた偽物は狼狽え、半歩後ろに下がると、トンと誰かにぶつかった。


「へぇ…

私は、お前の顔何ぞ知らないがな。


名前は?」

振り向くと、そこにいたのは、紅妃だった。

にこやかに。


真っ黒く微笑みを浮かべている。


まさに、前門の虎、後門の狼。

突然表れ、威圧する2人に偽物は真っ青になっていた。






< 138 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop