guard&search~幕末転生~
なんだかんだと力士乱闘は結局、力士達の親方が登場し、死者1名、怪我人数名出し、お互いに水に流すという形で幕を引いた。
何よりの驚きは、紅妃が人を切り捨てた事と、その罪を芹沢自ら被った事だった。
別行動だった近藤達も合流し、大阪力士乱闘は終了した。
後に、意外にも近藤と親方が意気投合して、仲良くなったのはびっくりだった。
屯所へと帰りつき、それぞれが報告を済ませ、部屋に引き上げると、土方の部屋には紅妃のみになった。
「………」
「………」
土方は複雑な顔つきで紅妃を見やる。
沖田の報告で、紅妃が心配だった。
『土方さん…
私はこの仕事が嫌になりそうです』
『なんだよ…
急に…』
いつも飄々としていた沖田が、しんみりと弱音を吐いた事に驚いた。
『乱闘で…
紅妃が人を切りました…
私は…
紅妃が怖かった…
冷たく、修羅になった紅妃に恐怖を感じたんです…』
『…総司…』
強いがゆえに、恐怖をあまり感じない沖田が、ただただ語る内容に、土方ですら呆然とした。
「…フフフ」
突然笑う紅妃に、物思いに更けっていた土方はびっくりした。
「な、なんだよッ!?」
「そんなに熱く見つめられてもな…」
「なッ!!
ち、ちげぇよッ!!」
そんなに見つめていたのかと真っ赤になって否定する土方に、紅妃は優しく笑う。
「安心しろ。
大丈夫だ」
今だに笑う紅妃は全てをわかっている様に優しく頷いた。
…一体、何が大丈夫なんだよ…もうちょっと俺たちを頼りゃいいのによ…
土方は、フッと笑い、ごまかす様に頭をガシガシとかいた。
お互いに優しい時間が過ぎる様に、夜も更けていった…