guard&search~幕末転生~
狐と狐の化かし合い
大阪力士乱闘も終わり、その後芹沢達の乱暴な金策も治まる処を知らず続いた。
日に日に土方の眉間のシワは増える一方だった。
過去に自分が一度はやりきった仕事とは言え、二回目は流石にヤル気も起きない。
面倒事は、だいたい沖田か近藤、さらには芹沢から回ってくる。
しかも最近お梅まで屯所にでばって来て、きな臭い。
山崎も、お梅がここにくる前に花街をうろついて、尚且つ、長州の連中がお梅の店に来ていたらしい。
「だりぃ…」
「…それは、私に対する当てつけか?」
思わず出た本心に、紅妃が苦笑いをしながら土方を振り返った。
いきなりの発言に、土方は一瞬意味が解らず、首を傾げた。
「…いくら神の願いとはいえ、私が巻き込んだようなものだしな」
「なッ!!
んなことねぇッ!!
俺たちも望んだ結果じゃねぇか!
今のは、ついだ!つい!」
紅妃が申し訳ない様子に、土方は焦りながらフォローをいれる。
土方があまりにも焦っている姿は珍しく、紅妃はふっと笑ってしまう。
だが、次の瞬間、紅妃はざっと立ち上がり、真剣な表情で振り返った。
「土方、すまないがしばらく私は不在にする。
神から呼び出しがかかった。
土方に任せるが、山崎にはまだお梅を張らせてくれ…
行ってくる」
紅妃は、土方に言いおくと光になり消えて行った。
あまりにも突然に消えた事にびっくりしたが、土方はチッと舌打ちした。
「山崎ッ!!
今すぐ、アイツラを呼べッ!!」