guard&search~幕末転生~
人気配には敏感なのに、気がつかなかった。
パッと目前を見ると、一人の黒付くめの男性が立っていた。
「…
何方でしょう?
私に何か用ですか?」
「山南敬介だな…
お前、物足りないか?」
彼の的確な質問に、ドキッとする。
何時もなら、こんなやり取りはあり得ない。
何故か信用し、彼の登場を喜んでいる。
「私の物足りないなさをご存知ですか…」
苦笑しながら、彼を見ると、少しびっくりした顔をする。
「フフ…
不思議ですねぇ…
貴方は信頼できると思ったのですよ」
「そうか…」
彼は複雑そうに、笑顔が歪む。
「…確かに、人より堅実で恵まれた人生かも知れない。
でも…私は違うと感じてしまうんです…」
告白すると、己の悲しさで片手で胸の辺りをぎゅっと握る。
「…
知りたいか…?
例え、今までの全てを捨てる事になったとしても…
知りたいか?」