guard&search~幕末転生~
コトン…
ほうれん草のお浸しを移そうとした小鉢を落としてしまう。
「…
どうして…聞くのかな?」
青年は少し笑い、首を傾げた。
まるでそのままの意味合いだと言いたげに。
そんな彼の様子に、私は何故か全て話してみたくなる。
「…
君は、不思議な人だね…
そうだね、私はどんなに恵まれても、何か足りない…
というか、忘れている気がするんだ…
君が教えてくれるんだね?」
私の最後の一言に、今まで黙っていた、5人はびっくりしたように目を見開き、青年は穏やかな顔をする。
「やはり、『井上源三郎』は、違うか。
知りたいならば、導こう」
クイっと酒を煽り、楽しげに話す。
「では…
頼みましょうか」
「了解した。
思い出せ。
『我は神の使い。神は、お前達に辛く、苦しい運命を与えた。神の慈悲にて、死の痛みに安らぎと、来世の幸せを約束する』」
初めて会った気がしない彼。
私の選択は正しかった。