guard&search~幕末転生~
「………」
「………」
あがって来た紅妃と、振り向いた斎藤は無言で見つめあう。
紅妃はタンクトップとショートパンツ。
俺たちと居たときは全身を黒付くめで、顔と手くらいしか出ていなかった。
あんなに綺麗なのに…
ついつい先ほどの紅妃を思い出してしまう。
「…醜い…だろう?」
思い出し、赤くなった顔を見られないように背けると、勘違いしたのか紅妃は悲しげに笑う。
「…心配しなくても、二度と見せはしない。
忘れてくれ」
それだけ言い残すと、自室に向かって歩き出す。
「紅妃ッ!!」
バッと、斎藤は彼女の手を掴む。
「きゃッ!!」
勢い良く引き戻すと、突然の事に紅妃がバランスを崩し斎藤に倒れこむ。
斎藤は咄嗟に紅妃を抱えた。
「すまぬっ」
抱きしめた格好で、2人は座り込んだ。
紅妃は慌てて立ち上がろうとすると、斎藤はぎゅっと抱きしめる。
「斎藤…?」
「…綺麗だと思ったんだ…
お前の傷痕も、
お前自身も…」
「嘘だ…
こんな…身体…」
「本当だ。
その跡がお前を包む事すら、羨ましく思ったほど…
なぁ、一目惚れを信じるか?
俺はどうやらお前に惚れたみたいだ」
「さ、いとう…」
『あの時』と同じ言葉。
忘れているはずなのに…
抱きしめる腕はどんどん強くなる。
「一。
一と呼べ」
熱い視線に絡め取られ、紅妃は斎藤の漆黒の瞳に見いられ、斎藤の顔が近づく。
「斎藤はん。
何しとん」