guard&search~幕末転生~
時間にして3日間。
私は光にのまれた後、いろんな時間に翔んだ。
その人物には私の姿は見えるが、他の人には見えないらしい。
沢山の血の香り。
沢山の涙のあと。
沢山の思い。
一人、また一人に囁き、見送る。
そして、最後の一人。
洋風な建築。
時代は、幕末から明治へと変わった。
その人は椅子に座り、猫を撫でながらぼんやりしていた。
私は、彼の後ろに舞い降りると、彼は気配を察したのか、ゆっくりと振り返る。
「…俺を迎えに来たのか?」
年老い、もはや動くことさえ辛そうな癖に、ハキハキと喋っている。
「同志が、最後に言っていた。違うのか?」
「いや…正しい。
あんたが最後だ。
迎えに来た」
最後と言うと彼は少し寂しそうに、微笑んだ。
「…そうか。
俺が最後か…」
「あぁ。
『我は神の使い。神は、お前達に辛く、苦しい運命を与えた。神の慈悲にて、死の痛みに安らぎと、来世の幸せを約束する』
さぁ、私の手を取れ」
手を伸ばすと、彼はゆっくりと年老いたしわしわの手を私の手に重ねた。
手を引くと、彼の肉体から青年姿の彼の魂が分離した。
彼は、驚いたのか目を見開きながら自分の姿と眠るように動かない年老いた己の姿を見比べていた。