O君へ・・・配達されない手紙
第2信
第2信・・・O君へ~配達されない手紙
内容 O君
君も知ってるKちゃん
きのう入院したよ
入院したといっても
命にかかわることじゃない
いろいろあってね
去年の5月頃だったか
長い間音信不通だったんだけど
電話があって
迎えに行ったのさ・・・U警察署まで
いろいろあってね
近所に住むことになって
そのころはまだ元気だったさ
見かけはね
とにかく一度健康診断を受けるようすすめたのさ
住所不定の車上生活しててね
いい年なんだからと
車を降りるようすすめたのさ
それで健康診断受けたら・・・
即入院が必要なくらい悪かったのさ
車処分して
住むところを手配して
生活保護受給の申請して
これは診療所の人が段取りしてくれて
上手い具合に受給できるようになって
どうにか生活のめどはたったわけさ
健康のために散歩もしてたし
病気の方も手術の経過もいいようで
何も問題ないように思えたんだけどね
急に足腰が弱ったのか歩くのもシンドイって言いだして
それに大と小のしまりが悪くなって
垂れ流しの状態だといってたよ
「助けてくれ 動けない」って電話受けて
部屋に入ったら・・・それっぽい臭いしてさ
部屋も散らかったまま
仰向けになったまま
起きられないと言うんだ
そこそこ太ってるから
起こすのは大変だった
そして診療所に電話して相談さ
往診して様子を見て
必要があれば入院という段取り
それで家に戻ったんだけど
kちゃんがこんなことになるとはね
君も一緒に働いていた頃は
現場尾監督にケンカ売るぐらい威勢がよかったけどね
それは何年前になるかな?
君はまだ20代前半だったか
もう20年以上前だったよね
みな若かったさ
Kちゃんも僕もまだ40代だったろう
いつしかバラバラになって
君は田舎に戻ったんだっけ
Kちゃんとも会わなくなって
それで普通は終りになるんだけど
ひょっこりKちゃんから電話があるのさ
それで会えば用は言わなくても分かる
Kちゃんの方からは何も言わなさ
それが賢いのかずるいのか
せっかくだからと買ってあげるわけさ
あるときは包丁を買って来てやったという
それもせっかくだからと
Kちゃんの言う値で買ってあげるわけさ
来るものは拒まず 去るものは追わず
腐れ縁も縁のうちなのかね
Kちゃんのことはいずれ我が身・・・だね
Kちゃんに出した葉書が
ポストにそのままだった
「なにがあっても生きる 笑って生きる」